2024年も終わりますね。ほんっと早くてビックリしちゃう。

今年最後のMURMURは記録し損ねていた美術展とか、今年のいろいろ、自分のためのメモを。
まずは非常勤で週2回通っている(後期のみ)九産大の中にある美術館とギャラリーで観た展示の記録から。

GRAPHIC TRIAL2024[九州産業大学 アートギャラリー]
「GRAPHIC TRIAL」はクリエイターとTOPPANグループが協力してポスターの制作を通じて新しい印刷表現を探るプロジェクトで、今回は18回目だそうで「あそび」をテーマに、日比野克彦氏や、毎号買っている「デザインのひきだし」の編集長をされている津田淳子氏などが参加されています。

オフセット印刷、インクジェット、スクリーン印刷などの印刷方式と加工技術を駆使していろいろな表現を試していく過程も含めた展示です。白、蛍光インキを使ったり、筆で描いたように立体感を出してみたり、仮想空間の絵の具に質感を加えたりと印刷の可能性を遊びながら広げられていて、おもしろかったです。こういう企画大好き。

GRAPHIC TRIAL 2024
 

牛島智子「ホクソ笑む葉緑素」九州産業大学美術館
九産大の卒業生で八女市(福岡県)に拠点を置く美術家、牛島智子氏の個展です。ホクソ笑む葉緑素とは近作シリーズ(下の真ん中の写真、壁に展示してある)の作品名から。学生時代から現在まで、半世紀にわたる作品群はとてもパワフルでした。

牛島智子 ホクソ笑む 葉緑素
 

Cygames 背景美術展 2024‐2025九州産業大学美術館
ゲーム製作会社Cygamesのゲームの背景アート展です。ゲームやアニメの背景に目を向ける度にこんなに上手く絵が描けたらいいなぁと思います。
全国の美術系大学を巡回ししているのでリクルート活動を兼ねての展示だと思いますが、実際、ゲーム会社への就職を希望している学生さんも結構多いですしね。

背景美術展
 
いやぁ、大学に美術館やギャラリーがあるっていいですね(学生と教職員は入場無料)。
 

次は記録してなかった今年のいろいろです。

●高千穂へ
昨年、函館に一緒に行った旅の仲間と今年は高千穂へ。台風の影響で、東京から2人が来れるかどうかハラハラし、予約していた高千穂峡のボートが台風の被害で営業中止になったりと、いろいろあったけど行けてよかったです。ボートだけが心残りですが神社もたくさん行けたし、夜神楽も見たし、大自然を堪能したし、宿のお部屋もよかったし、楽しい旅でした。

天安河原は天照大神が隠れられたときに八百万の神々が集まり、光を取り戻すにために話し合いをしたと言われる場所。ここに行く途中の渓流が本当に気持ちよくて…なんというか、大自然の中で過ごして心が洗われた気がします。

高千穂
左:高千穂峡…いつかボートはリベンジしたい
中:高千穂神社の夜神楽
右:天安河原

 
●辰野金吾の十二支
今年、仕事で武雄温泉に行く機会が何度かあって、その際、辰野金吾設計で重要文化財の武雄温泉 楼門を見学してきました。
武雄温泉 楼門2階の天井の四隅には「子」「卯」「午」「酉」の4つの干支の透かし彫りがあります。
それぞれ方角をあらわしていて、「子=北」「卯=東」「午=南」「酉=西」の方向になります。

なぜこの4つかというと同じ辰野金吾設計の東京駅のドーム内、8角形の天井に干支の方位に従って十二支のうち8つのレリーフが配置されていて、その8つ以外の4つがここにあるんですね。しかも東西南北というわかりやすい4つが楼門に。楼門の竣工は大正4年(1915)、東京駅は大正3年(1914) 開業なので同時期に設計していたことになります。

ガイドの方の説明によると、武雄温泉を一大リゾートとすべく、「竜宮城」を目指して佐賀県唐津市(武雄のお隣)出身の辰野金吾に設計を依頼。当初は3つの楼門をたてる計画があったのですが、京都から宮大工を呼び、釘を一切使わず、板を手彫りで削るなどしていたら予算が足りなくなり、やむなく楼門は1つだけになりました。
残りの幻の2つの楼門が建てられていたら、干支(方角)の透かし彫りは東西南北を除いた、丑(北北東)、寅(東北東)、辰(東南東)、巳(南南東)、未(南南西)、申(西南西)、戌(西北西)、亥(北北西)になっていただろうと。それが取りやめになったため、辰野金吾が東京駅にこの8つの干支をレリーフにして入れたんですと説明されていました。

このことは何かに書かれていた史実ではないため、本当のところはわかりませんが、実際に楼門が3つの計画から1つになったのは事実。故郷の建物と国家プロジェクトであった東京駅。遊び心だったのか、何か意味があったのかわかりませんが、遠く離れた東京駅と武雄温泉で十二支が揃うのはとてもおもしろいです。

今年は東京に出張したのでついでに東京駅にも寄り、あらためて8つのレリーフを撮影して十二支をコンプリートしましたが8つのレリーフの方はぼんやり写真に。東京駅のドームの高さは35m。10階建てぐらいの高さがあるので、さすがにiPhoneで1階から撮るのは無理でした。大きめの望遠レンズを持っていくか、自分が近づくしかないですね。東京ステーションホテルのドームサイドに宿泊すればいいのか…。

辰野金吾の十二支
上:東京駅
下:武雄温泉 楼門

 
●レトロ建築巡り
今年も京都モダン建築祭に参加したり、仕事での遠征ついでだったり、週末に県内や近県を巡ったりで今年もたくさんのレトロ建築(美術館も)を堪能できました。東京、京都、下関、長崎、熊本、唐津、武雄、佐賀、北九州市の若松、門司港レトロ…。

レトロ建築を見学していると、よくぞ残してくれたと思うことが多いのですが、一方で老朽化により耐震等の問題で存続の危機にあるものもあります。どうにか残していただきたいなぁと思うのですが、それはすごく勝手な思いなんですよね。

東京出張時に宿泊した「学士会館(1928年竣工)」はこの年末で休館し、リニューアル工事が行われます。少なくとも旧館の外観の保存は決まっているそうですが、セットバックしなくてはいけないので内部はそのままというわけには行かなさそうです。休館前に宿泊できてよかった…。

佐賀市の「市村記念体育館(1963年竣工)」は今年、見学した中で1番インパクトがあった建築で、とても素晴らしいのですが耐震化とリニューアル(保存工事)を行う予定だったはずが資材の高騰により、現在、ペンディング状態になっています。ちなみのこの生地のタイトルバックの写真は市村記念体育館の階段です。

一方で京都の長楽館のように新たに重要文化財に指定された建物も。文化財指定で保護されれることが決まっても維持していくことは本当に大変だと思いますが、レトロ建築ファンとしては素直によかったなぁと思います。

そうそう、母校の建築物群が登録有形文化財に指定されることが決まりました。文化財ってもっと古い建物が指定されるんじゃないかと調べたら、50年を経過した歴史的建造物のうち一定の評価を得たものを文化財として登録されるとのこと。母校は1968年に竣工なので古さの条件は満たしてました。それにしてもビックリのニュースでした。あらためて撮影に行こうかしら。

レトロ建築
左:学士会館(東京)
中:内村記念体育館(佐賀市)
右:今年の秋に重要文化財に指定されることが決まった長楽館(京都市)

 

●映画
今年観た映画で特に心に残ったものを記録。
まずレトロ建築の老朽化の話にも繋がるのですが、今年3月末で閉館し取り壊しになった中洲の大洋映画劇場で観た「哀れなるものたち」。美しい映像にドキッとするようなタブーに触れたような大人の寓話(R-18指定!)でした。

それから「ルックバック」。原作を読んでいたので内容をわかって行ったのだけど、感情が揺さぶられる素晴らしいアニメーションでした。エンディングは原作より映画の方が救われた気がします。

この2つが大きいけど他に「DUNE part2」(この終わり方は原作の「砂の惑星」だけじゃなく「砂漠の救世主」もやるつもりなんや…どっちも読んでる)とか「ゴジラ-1.0」とか「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」とか「ラストマイル」とかは劇場で観てよかったなぁと思います。
 

さて、今年の更新はこれが最後です。
上に書いた以外にも春にお休みをとって黒川温泉に行ったり、長崎ランタンフェスティバルにも行けたし、個人的には今年1年、楽しく元気に過ごすことができてよかったなぁとしみじみ思ってます。健康第一。つい先日、友人がコロナに感染してたし(軽症)、今はインフルエンザが猛威をふるっているので気をつけないといけないですね。あ、加湿器が壊れたので買わないと。
そして来年も元気に旅ができますように。

それでは、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。