美術館やギャラリーの展示に行ってきたのの記録をと思っているんですが、まとめちゃうと後で自分がわかりにくいので小分けに更新します。
まずは「バンクシー展 天才か反逆者か」の記録を。
横浜、大阪、名古屋での開催が先に決まっていて、大阪でやるときに行きたいなと思っていたのがコロナで行けず、あきらめていたところで福岡開催が決定しました。それも場所が大名? そんなギャラリーあったっけ? 聞いたことないないなと思ったら、この展示がこけら落としの新しい施設でした。
チケットはこちらから日時(30分毎)指定での販売になっています。
そうそう、これから行かれる方は、ぜひスマホのイヤホンを持っていってください。スマホで音声ガイドを聞くことができます(無料)。会場内はありがたいことに写真も撮り放題です。ただ、なんとなくここで作品をたくさん紹介するのは違う気がするのでちょっとだけ。
タイトルバックにした作品は元々はロンドンのオールド・ストリート駅近郊の壁に描かれたグラフティ。映画「パルプ・フィクション」のワンシーン。銃がバナナに置き換えられてます。作品公開後、ロンドン交通局が「この作品が人々を刺激してより残虐にしてしまう」として塗りつぶされたのですが、同じ場所に今度はバナナのかぶり物をしたジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンが銃を持ってる絵を描いたという話が好きです(かぶり物バージョンも展示されてます)。
グラフティという性質上、消された作品も多く、バンクシーもグラフティに関しては作品寿命が短いこともわかった上で描いて行っているのでしょうが、実際、グラフティというとカッコいいけど迷惑な壁の落書きとの違いは何かって難しいですよね。もし自分の住む家の壁に誰かが勝手に絵を描いたら腹立ちますやん。できればすぐに消したい。そして描いたヤツを捕まえてほしい。でもバンクシーに限らず、キース・へリングやバスキアとかの作品だったら喜んで残しちゃうかも。それはお金になるから? そのあたりのちょっといやらしい感じをあざ笑われてるような気がします。2018年にサザビーズでおよそ1億5千万円で落札された作品「Girl with Balloon」が会場内ですぐに作品に仕込んであったシュレッダーが作動して断裁された事件?がありましたが、あれはバンクシーがオークションビジネスだけでなく経済最優先の資本主義を批判してしているんでしょう。ただ皮肉なことにこの事件で更にバンクシー作品の価値が高まってるの、ご本人、どう感じているのでしょうか。
今回の展示は、当然ですがグラフティの本物を持ってくるわけには行かないので作品はほぼ版画なのですが(横に実際のグラフティの写真があるともっとよかったかも)、いろいろなテーマごと(反戦や某巨大キャラクタービジネスへの批判とか基本的に社会批判だったり問題定義だったり)の作品群を見られるだけでなく、アトリエやトイレが再現されていたり、世界各地のグラフティをまとめた動画があったりと、3フロアに分かれた会場で立体的に作品を見ることができます(エレベーターもありますが、通常順路だと結構、階段を上りますのでお気をつけて)。
なおこの展示はバンクシーご本人非公認なわけですが(よく考えたらバンクシーが公認するのも変な気がする)、そんな中、これだけまとめて見られるのは協力されたコレクターの方々に感謝しないといけないですね。
おもしろい、楽しいだけではなく、とにかくいろんなことを考えさせられた展示でした。